まさにピーカンの夏、前回も述べたとおり、絵に後年ほどの完成度はないものの、むせっ返るような夏草の薫りが伝わってくるような、見事な描写。「ハートカクテル」初期の色使いは、割と彩度が低めな気がするのだけど、ここで使われている緑は、鮮やかの一語に尽きる。
主人公の男、クライアントに「君の仕事は評判いいんですヨ」と言わせているが、仕事のプロセスに問題ありと言わねばなるまい。大体ラストシーンに至っては、誰がどう見てもサボりである。まぁ、小生とてこの年になってもハートが小休止したくなることだってあるわけだが。
そのラストシーン、ハート型に刈り残された芝生が印象的だが、わたせ氏が東日本大震災を受けて制作したという最近のイラスト、「TOMORROWの色」でも同じモチーフが導入されている。
女の名は、「加藤慶子」である。やけに生々しい。
けい子…2
みさ子…0