数日前になるが、去年の秋に『ほぼ日』主催で行われた吉本隆明の講演の様子を、NHKでやってた。
僕は、親の世代、即ち団塊の世代の文化や思想について興味があるから、当然の如く吉本は気になる存在であり続け、かつては『共同幻想論』だの『心的現象論概説』だの読んでみたこともある。いずれも半ばで挫折したのだが。80年代以降の対談などの軽めの著作は割りと読んだ。ネオアカ・ブームの煽りもあって、思想がポップなカタチで人口に膾炙しつつあってからのものだから、吉本のハードな部分は殆どイメージとしてしか知らないまま今に至っていたわけだ。
あの独特の語るサマ、宙に手をかざして虚空を見つめながら、「あの、その、つまり…」と、たどたどしく言葉を紡いでゆく様子は、初めて観たが、舞台装置も相まってか、神懸かって見えた。
ああ、これがあの吉本か、と、大いに感慨深かったが、しかし、「あの、その、つまり…」が随分聞き苦しくて、ちょっと辟易したのも事実だ。
その部分において、僕の文も斯くや、か。
年初のタモリ対談が終わった。2006年からのスタートだそうだから、今年で4年目だが、開始当初は歴史論や天皇論なんぞも出てきてタモリとしては己のインテリジェンスの(それでも控えめな)発露の場にでもしようとしてるのかもとも思ったものだが、年を追うにつれ、ごくごく普通のタモリになってきてる。それはそれで残念ではあるが、それでこそタモリだと思えるから、タモリは偉大だ。