「ハートカクテル」連載開始当初は、1983年である。70年代と80年代の間には「神田川」と「Get Wild」ぐらいの隔絶があるが、80年代に70年代の残滓がひょっこり顔を出す、ということが以外にあって、それが80年代の面白さだと、小生は勝手に思っている。
当回における男女には、80年代のポップ性やら洗練性やらを代表する漫画としての「ハートカクテル」には似つかわしくないほど、それらが無くて、むしろ「神田川」がハマるぐらい、生活臭がにじみ出ている。特に、女の部屋の地味さといったら、せいぜい逆さに吊るしたドライフラワーがかろうじて彩りを保っている程度である。外人が描いた間違ったカタカナみたいなのを意匠とする暖簾なんかは、そんなのが親戚のウチにもあった気がするほど、現実染みている。
F市は福岡市、K市は北九州市だろう。わたせせいぞう市の故郷辺りの物語である。
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