新聞記者連中が書いてるだけあって、随分と読み応えがあった。国家の権力が中曽根内閣でもって相当量総理に集中しましたよ、という説明なのだが、86年の初版発行だから、その後も随分と行政改革が叫ばれ、それをやって、何とか十数年後の橋本内閣で一応の結実を見たことになってるんだけれども、未だに官僚だの党派だの利権団体だのの束縛からいささかもフリーじゃない様子の現在の内閣総理大臣像を知る僕等としては、あの時分でそれほどのムーヴメントが表裏であったなら、今に至るまで何ぼあったのよ、というところが、正直な感想である。
僕が生を受けたのは73年だが、それ以降の大総理といえば、中曽根と小泉に尽きる。大総理の芽はあったのだけれど叶わなかったのは、竹下、橋本、小渕か。田中がそうだったから、木曜クラブ→経世会の流れは、よくよく運がないのかどうなのか。
~覚えておくこと~
・香山健一なる学者が、中曽根行革の理論的背景を提供していたらしい。
・この本が書かれた当時でさえも、(旧)社会党のグダグダは露見していた。
・ODA調査団を含む海外視察団の報告書たるや、見事にいい加減なものである。…的な、当時の、税金の無駄遣いとか、代議士や官僚のモラルの低下現象は、想像を超えたものがある。現在それがどの程度改善されたか、それこそ少なくとも新聞記者並みのコミットをしなければ分からないのだろうけど、それはそれとして、このことを僕らなりに、あらためて注目する必要がある。