「ハートカクテル」考 ~ vol.011 ノックをしなかったサンタクロース

2回目のジェシィの店から始まる当回、まさに大人のファンタジーに溢れている。クリスマスの夜、彼女が出て行った部屋を、「二度と寄ることのない銀河鉄道999が発車してしまったプラットホームのよう」と喩えるなど、実にウマいし、「… 続きを読む 「ハートカクテル」考 ~ vol.011 ノックをしなかったサンタクロース

「ハートカクテル」考 ~ vol.010 1/3の確率

男の申し出る「賭け」が随分と回りくどくて、さすがに共感しづらいのだが、そこはさすがに80年代である、というべきか。ではあるが、クリスマスシーズンのデパートの雰囲気とか喧騒とかがよく伝わってきて、少々胸キュンである。ちなみ… 続きを読む 「ハートカクテル」考 ~ vol.010 1/3の確率

「ハートカクテル」考 ~ vol.009 7頭のトナカイ

明らかに45°ではない、最初のコマの秋の日ざしではあるが、愛すべき小品、といえる一作。 晩秋~初冬をそこかしこに詠み込んでいて、この季節独特の雰囲気をよく味わえる。確かに、MJQ、ミルト・ジャクソンのヴァイブが似合う季節… 続きを読む 「ハートカクテル」考 ~ vol.009 7頭のトナカイ

「ハートカクテル」考 ~ vol.008 彼女の名前

みさ子のデビュー作にして、シリーズ序盤最大の問題作。 問題なのは、主人公の男である。雑居ビルの別の会社に勤める名も知らぬ女に、密かに恋心を抱く主人公、偶然一緒になったエレベーターを出る彼女を、扉を閉めることも忘れ、呆然と… 続きを読む 「ハートカクテル」考 ~ vol.008 彼女の名前

「ハートカクテル」考 ~ vol.007 オールドハワイ・コナ

小生は、このようなシチュエーションを経験したこともなければ、コーヒーを飲む習慣もないので、当回からは特に何の感慨も浮かばないのであるが、ただひとつ、3ページ目の2段目のコマに、画の味わいを感じる。明らかにデッサンが不味く… 続きを読む 「ハートカクテル」考 ~ vol.007 オールドハワイ・コナ

「ハートカクテル」考 ~ vol.006 コスモス アベニュー

「ハートカクテル」連載開始当初は、1983年である。70年代と80年代の間には「神田川」と「Get Wild」ぐらいの隔絶があるが、80年代に70年代の残滓がひょっこり顔を出す、ということが以外にあって、それが80年代の… 続きを読む 「ハートカクテル」考 ~ vol.006 コスモス アベニュー

「ハートカクテル」考 ~ vol.005 ネコ

男とネコ、一人と一匹による密室劇。絶妙な会話のテンポが、居心地の良い佇まいを醸し出している。が、「だけどおならはかんべんだぜ」「うん出来るだけがまんするよ」のくだりは、台無しである。「おなら」に加えて「だぜ」は無い。ネコ… 続きを読む 「ハートカクテル」考 ~ vol.005 ネコ

「ハートカクテル」考 ~ vol.004 グリーンの軌跡

まさにピーカンの夏、前回も述べたとおり、絵に後年ほどの完成度はないものの、むせっ返るような夏草の薫りが伝わってくるような、見事な描写。「ハートカクテル」初期の色使いは、割と彩度が低めな気がするのだけど、ここで使われている… 続きを読む 「ハートカクテル」考 ~ vol.004 グリーンの軌跡

「ハートカクテル」考 ~ vol.003 一枚の愛(a sheet of love)

鈴木英人ではないが、わたせ氏が得意とするロケーションといえば、「ピーカン」の海辺、である。3作目にして早くも登場、であるが、実際この時点ではまだ絵が熟れていない。こう言っては失礼だろうが、作画の技量が固まってくるのは、v… 続きを読む 「ハートカクテル」考 ~ vol.003 一枚の愛(a sheet of love)

「ハートカクテル」考 ~ vol.002 ジェシイの店

日系2世の口髭のマスターがやってるバー、「ジェシイの店」である。店の片隅にはアップライトピアノがあって、マスターが気が向いたときに弾いてくれるらしい。この店で出しているピザだが、小生が大学時代にバイトしていたカクテルバー… 続きを読む 「ハートカクテル」考 ~ vol.002 ジェシイの店