派閥抗争華やかなりし頃を知る現職国会議員は、果たしてどれほどいるか。自民党では、海部、河野、森、小泉、加藤、山崎あたり、民主党は、小沢一郎をはじめ、渡部恒三、羽田孜の、「華の69年組」がひしめいている。竹下派七奉行が民主党にしか残ってないってのも、森~福田の清和会王朝とか、平成角福戦争とかを裏付ける。
で、その一角が、この選挙による任期を最後に政界を引退する旨示唆したとのこと。
羽田孜元首相である。
なんかこの人は好きだった。ツトムちゃん。
政権発足当時、トレードマークの袖を切ったスーツ姿で、「ニュースステーション」に出演していたのを思い出す。現職総理が一情報番組に出るなんてことが嘗てあったろうか。きちんと調べたわけではないが、実際なかったろうし、それ以降も無かったはずだ。田原総一郎の政治がテーマの番組ですら、自民党から出演するのはせいぜい幹事長である。なんとも、いい意味で気安い総理だなと思った。その気安さまで降りてくるにはエネルギーが必要なんで、それをやったツトムちゃんには行動力を感じた。現場をつぶさに見て廻って、そこに働く社員と分け隔てなく気軽にコミュニケーションをとる新社長みたいなイメージだ。
しかし残念ながら、日本の政治史に殆ど何も残さないまま、あっという間に総辞職してしまった。残したことといえば、戦後二番目の短命政権、ということだけだ。
ウィキペディアによると、田中真紀子に「多弁にして空疎」とバカにされたとか、「~というふうに」「アレする」「真正面から」「率直にいって」などのフレーズを多用し「羽田語」と揶揄されたとか書かれてるが、そんなのもむしろ愛らしい。
農水大臣を2度務めた。生産者の苦衷を斟酌しながらもコメ自由化を訴えるツトムちゃん。大蔵相や通産相といったエリート臭いポジションではなく、庶民的な農水相でありつつも、先進的・国際的視点を貫く姿勢がこの人らしい。自らが中選挙区制の申し子でもあろうが、小選挙区制を主張したのもそうだ。
ちょっと前にテレビニュースにチラッと出てた。よく覚えてないけど、民主党内のゴタゴタを同党最高顧問として仲裁したそうだ。すっかり白髪が多くなり、確か杖をついていた。残念だった。
ツトムちゃんに関して書きたいことは以上だ。
海部俊樹も好きだ。トシちゃんへの愛は、また今度書こう。