麻生総理誕生前夜

麻生太郎氏を初めて認識したのは確か01年の総裁選の時だったと思う。
ひん曲がった口許から何とも厭な皮肉ばっかり発してて、こんな男に総理になられたらたまったものではないとさえ思ったものだが、その後、外務大臣のときに多少印象が好転した。というのは、ロシアの警備艇に根室の漁船が銃撃を受け、一人が死亡した事件があったが、直後にロシアの外交官と会談を行うとなって、まずは握手から、というシーンがニュースで流れた。その時の麻生氏は、ヘの字口を固く結び、相手をキッとにらみつけ、一歩も退かぬ決意と、国士としての矜持に満ち満ちていたのだ。
その辺りからだったか、例の秋葉原での演説があったり、テレビでよく見かけるようになったりで、当初抱いていた嫌悪感が徐々に減退していったのだが、どうもイメージのコーディネーションを意図的にやっていて、それに乗せられてしまった気もする。特に、笑顔が良くなったか。

永田町では「半径2メートルの男」と呼ばれ、一旦近しくならないとその魅力が分からないとの意だそうだが、まぁ、それなりの魅力がある人物なのだろう。

外交の場では、多少のスタンドプレーも交えながらもコミュニケーション力を発揮して存在感をアピールしてくれそうな気がする。対中対韓外交は、懸念されるほど強硬な態度はとらないだろう。肝心の経済政策は、既に消費税率引き上げを3年凍結すると表明したそうだが、過去の発言から見ても、初入閣は経企庁長官だったにも関わらず、イマイチ財政再建には関心がないようであり、短期的な景気浮揚ぐらいしか期待できない。少なくとも今後のライバルの小沢民主党代表と較べると、国のありようから語り起こすという芸当ができるキャラではないだろう。

まぁ、それもこれも麻生政権がいくらか続けばの話で、政局ウォッチャーとしての目下の課題は、やっぱり解散総選挙の時期の見極めである。勝てれば、意外と2~3年はもつかもしれない。ただ、その場合経済がメタメタになることもあり得るわけで、その点は充分懸念に値する。

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